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『回転』をめぐって

 1961年の英米合作映画。原題は『無邪気な者たち』。原作は、アメリカ人作家ヘンリー・ジェイムズが1898年に発表
した小説『ねじの回転』。製作・監督は英国人ジャック・クレイトン。脚本は『私は告自する』(アルフレッド・ヒッチ
コック、53)を手掛けたウィリアム・アーチボルドと、アメリカ人作家トルーマン・カポーティ。カポーティはクレイト
ンが製作した『悪魔をやっつけろ』(ジョン・ヒューストン、53)のほか、『ティファニーで朝食を』(ブレイク・エドワ
ーズ、61)や『冷血』(リチャード・ブルックス、67)等自作小説の脚色も担当し、映画界とも深い関わりを持っていた作
家だ。クレイトンはアートボルドとカポーティによる本作の脚本を称讃している。音楽は『詩人の血』(30)、『美女と
野獣』(46)、『オルフェ』(49)といったジャン・コクトー作品や英国イーリング・コメディの諸作、名作アメリカ映画
『ローマの休日』(53)等を手がけたフランス人作曲家ジョルジュ・オーリック。彼はクレイトンが製作した『赤い風車
』(ジョン・ヒューストン、52)の音楽も担当している。撮影は英国シェパートン・スタジオと、イースト・サセックス
のシェフィールド・パーク・ガーデンで行われた。

 映画はその大筋において、原作小説で語られている物語に寄り添っている。ただいくつか大きな異同がある(細かい異
同は多数ある)ので、その点に簡単に触れておこう。

 原作は冒頭に長めのプロローグを置いている。そこでは語り手「私」が、かつて親しくしていた10歳年長の女性が残
した手記を幽霊物語として訪問客に話して聞かせると同時に、その女性を取り巻いていた状況(女性はある男に家庭教師
として雇われ、田舎の屋敷に住む彼の甥と姪の世話をすることになる)を説明する。その後、当の女性ギデンスによる手
記が続く。もちろんこの手記も一人称による記述である。映画の方では小説のプロローグに当たる部分を端折り、そこ
で語られているギデンスが家庭教師として屋敷に赴くまでのいきさつを雇主の男とギデンスとの会話の中で説明させて
いる。

 

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