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『白い肌に狂う鞭』をめぐって

 1963年のイタリア=フランス合作映画。原題は『鞭と肉体』。監督のジョン・M・オールドとは、もちろんイタリア製ホラー/スリラー映画の名匠にして偉大なる職人監督マリオ・バーヴァの変名。

 オリジナル脚本は・ロバート・ヒューゴ(『みんなが恋してる』『さすらいのデスペラード』を手がけたウーゴ・グェッラの変名)、ジュリアン・ベリー(リッカルド・フレーダ監督の『ヒッチコック博士の恐怖』を始め『怒りの荒野』『影なき淫獣』『ミスター・ノーボディ』を手がけたエルネスト・ガスタルディの変名)、マーティン・ハーディ(『裸女と海賊』『スパルタの若獅子』を手がけたルチャーノ・マルティーノの変名)によるもの。この三人はお互いに共同で脚本を執筆することが多く、たとえば『可愛い悪女』(63)はグェッラとマルティーノが、『南から来た用心棒』(66)はガスタルディとマルティーノが共同で執筆している。ガスタルディによれば、グェッラは彼とマルティーノの先生にあたる人物で、本作の脚本は三人で企画に関して話し合った後、ガスタルディが単独で一ヶ月半で書き上げたものだとのこと。バーヴァを企画に引き入れたのも、彼と親しくしていたグェッラだったようだ。息を飲むような美しいカラー撮影を担当したのはデイヴィッド・ハミルトン(英国の写真家ではなく、『モデル連続殺人!」『ブラック・サバス』といった初期バーヴァ作品を手がけたウバルド・テルツァーノの変名)とバーヴァ白身(ただしクレジットされていない)。ロケーション撮影は、後のバーヴァ作品『黄金の眼』(68)、『ザ・ショック』(77)でも使用されたイタリアのラツィオ州トル・カルデーラや、第二次大戦で連合軍がイタリア上陸した地アンツィオで行われた。

 主人公クルトを演じるクリストファー・リーは、『吸血鬼ドラキュラ」(テレンス・フィッシャー監督、58)のタイトルロールでその存在を世界中に印象づけていた英国人俳優(声は他の俳優による吹き替え)。バーヴァも彼の演ずるドラキュラに魅了された一人だったという。リーのバーヴァ作品への出演は、『ヘラクレス魔界の死闘』(61)に続いて二度目。ヒロインのネヴェンカ役は当初『血ぬられた墓標』のバーバラ・スティールに依頼されたが、自分がホラー映画専門女優だと思われれるのを懸念してスティールはそれを断り、代わってイスラエルの女優兼歌手ダリア・ラヴィが演じることになった。彼らを含む数人の外国人俳優を除き、イタリア人俳優もすべて英語の変名扱いとなっている。

 

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