『無関心な人々』
(フランチェスコ・マゼッリ監督、1964年、イタリア=フランス)


 作家のアルベルト・モラヴィアがさまざまな形で1940年代後半以後のイタリア映画界に貢献した人物であることは、よく知られた事実だろう。原作者、脚本家としての役割に加え、残酷度を売りにして日本でも話題になったド(モ)キュメンタリー映画『グレート・ハンティング』(アントニオ・クリマーティ&マリオ・モッラ、75)のナレーターまで務めている。

 デ・シーカの『ふたりの女』(60)、ゴダールの『軽蔑』(63)、ベルトルッチの『暗殺の森』(70)といった作品と並んで、モラヴィアが原作を提供した映画に、『無関心な人々』(64)がある。1929年に刊行された、モラヴィアにとって処女長編小説にあたる作品だ(執筆されたのは、河島英昭によれば、モラヴィアが17歳の終わりから20歳にかけての時期)。監督のフランチェスコ・マゼッリはすでに『王位継承者たち』(60、未)で脚本家の一人としてモラヴィアを起用しているものの、『無関心な人々』の脚本には原作者その人を招聘せず、スーゾ・チェッキ・ダミーコと自らの共同で映画用翻案を手掛けている。

 『無関心な人々』の物語は、この小説を読んだ人にはお馴染みのものであろうけれども、少しだけ書いておこう。

 舞台となるのは、1920年代のローマ。主要登場人物は、零落したブルジョア一家であるアルデンゴ家の成員(母マリアグラーツィア、長男ミケーレ、長女カルラ)。マリアグラーツィアの長年にわたる愛人レーオ・メルメーチ。レーオのかつての愛人にしてアルデンゴ家とつき合いのある中年女性で、今はミケーレに思いを寄せているリーザの五人だ。レーオはすでにマリアグラーツィアへの愛情を失っており、彼の関心は娘カルラの方へ移っている。アルデンゴ家はレーオに対しかなりの金額にのぼる負債を抱えているが、返済能力がないため抵当に入れている屋敷はまもなくレーオの手に渡り、一家は追い出されることになっている。実はレーオは一家を騙し、屋敷の価値を正規の値段よりも安く見積もってわがものにしようとしていた。そのうえ彼はカルラを誘惑し、結婚の意思をちらつかせて思いを遂げようとしている。カルラも一家の窮状からくる逃げ場を見いだせない焦りと諦めから、レーオに身を任せようとしていた……。

>> 次ページへ

mozi - rare films- 遠山純生-
Top Page
column
studies
rare films
archives
profile
about this site

Copyright(C)2011 mozi by Sumio Toyama All Rights Reserved.


RARE FILMS TOP に戻る