『タッチャブル』
(ロバート・フリーマン監督、1968年、イギリス)


 この映画の監督ロバート・フリーマンは、元来フォトジャーナリストだった人物だ。報道写真の仕事のほかに撮っていた、ジョン・コルトレーンやキャノンボール・アダレイらジャズ・ミュージシャンの写真がビートルズとそのマネージャーのブライアン・エプスタインに気に入られ、1963年からビートルズの写真を撮り始めた。とりわけビートルズ初期から中期にかけての五枚のアルバム“With the Beatles”“A Hard Day’s Night”“Beatles for Sale”“Help!”“Rubber Soul”のジャケット写真を撮影し、カヴァー・デザインを手がけたことで知られている。

 映画の方では、やはりビートルズ主演『ビートルズがやってくる/ヤァ!ヤァ!ヤァ!』(64)と『HELP! 四人はアイドル』(65)、この二本と並んでリチャード・レスターが監督を手がけた『ナック』(65)のタイトル・デザイン(と写真撮影)を担当した(『ヘルプ!』ではカラー・コンサルタントも担当)。1960年代中頃のレスター作品が湛える独特のイメージを決定するのに、フリーマンの貢献が欠かせなかったことがわかるだろう。

 1966年、フリーマンは30分の短編映画で初めて映画監督に進出する。彼にとって初の長編映画作品が、続いて監督したこの『タッチャブル』だ。

 フリーマン自身の原案に基づいて筋書きを構想し、脚本を執筆したのはデイヴィッドとドナルドのキャメル兄弟。ドナルドの方は、後にミック・ジャガー主演『パフォーマンス』(70)を監督することになる。脚本にはイアン・ラ・フルネの手も入っている。

 キャメル兄弟が本作の脚本執筆に参加していることは前述した通りだけれども、そもそも彼らがこの企画に関与したのは、デイヴィッドの方がフリーマンと知り合いだったからだという。デイヴィッドによれば、フリーマンはアメリカのテレビドラマ・シリーズ『アンタッチャブル』を意識して自作を『タッチャブル』という題にしようと考えていたとのこと。

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