クリスチャンを誘拐した四人組は彼を監禁するのだが、その監禁場所がかなり奇抜だ。森と湖に囲まれた無人の田舎に建つ、巨大なドームなのである。このドームは全面透明な壁に囲まれ、外から中の様子が丸見えで、床は鏡張りになっている。中にはジュークボックス、ピンボールマシン、ビリヤード台がぽつりと置いてあり、話すと声が奇妙に反響する。よくぞこんなものを思いついただけでなく、実際に建造してしまったものだと思う。

 最初四人組はドーム内に置いた円形回転ベッドにパンツ一丁のクリスチャンを縛りつけるのだが、いつの間にか彼の拘束は解かれている。その後、クリスチャンはモーターボートを使って湖から逃げようとして失敗したりもするけれども、彼はドームに滞在するうちに娘たちと親しくなっており、何が何でも逃れたいと思っている様子でもない。それどころか、彼女たちと一緒に卓球をしたり湖上でモーターボートを走らせたり(なぜか羊と一緒に飼われている)白馬にまたがったり、あるいは代わる代わる寝てみたりもしているようで、結構楽しんでいるのではないかとさえ思える。実際、映画の後半はクリスチャンと四人の娘がドーム内とその周辺で戯れる様子が、長々と描写されるのだが、人間の姿が見えない自然の中にドカンと建っている透明ドームの内側から見た光景と、このドームを外からとらえた光景が昼夜を問わず交互に示されて奇妙に美しく、眺めていて飽きない。

 ドーム内にあるトランポリンの上で飛び跳ねる娘たちを交互に映し出すくだりは、画の連なりがレスターのビートルズ映画──あるいは『マリアンの友だち』(ジョージ・ロイ・ヒル、64)で二人の少女が街なかを飛び跳ねる場面──を思わせるデザインになっているし、夜になってドーム内に設置したスクリーンにサイケデリックな映像断片を上映し、その前でメラニーがゴーゴーダンスをするくだりもいかにもこの時代の風俗という感じながら視覚的に楽しめる(途中でフィルムが止まって、映写機の熱で溶けてしまう)。

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