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 ボブは言った。「これがあの映画のポイントなんだ。君は憎むべき雑魚で、君を改心させることができるのはただ一つ、囚人の一団だ。ビリー・グラハム伝道師[米南部バプテスト教会の伝道師]ではない。もし君が本気で女を手荒に扱わなかったら、われわれは映画を作ることはできない。もし君が本物のクソ野郎でなかったら、要するに自分のことしか考えていない許しがたい奴、完全なエゴイストでなかったら、われわれは映画を作ることはできない」。そりゃそうだ。話題になったその場面に出演した女の子は、ボブ・ベイカーのクイズ番組に出ていたところを引き抜かれた。彼女は女優ではなく、実際演技はひどくまずかった……私は『ウチの亭主と夢の宿』(ヘンリー・C・ポッター、48、未)で、キャサリン・ヘプバーンにつかみかかって後ろ向きにひっくり返すケーリー・グラントを思い出そうとしていた[この発言はレイノルズの記憶違い。グラントと共演したのはヘプバーンではなくマーナ・ロイ]。何らかの理由で、結果的に仕種はそんなに乱暴なものにならなかった。女の子にこう言ったよ。「ベイビー、もう一回だけやらせてくれ。君を乱暴に扱いたくはないんだけど」。私は彼女の頭をドアに軽くぶつけなければならなかった。彼女はひどく決然とした様子で「用意できたわ」と私に言った。だが彼女は、私に部屋の反対側に投げ飛ばされるとは知らなかった……。  
 
 例えば、エディ・アルバートと共演した場面を思い出して欲しい。あの場面で私は言う。「あんた方の勝利がはっきりしたら、あんたの手下どもに俺たちをましに扱ってくれるよう言ってくれよ……俺の仲間がひどい扱いを受けないように」。サディスト的な刑務所長役を見事に演じたエディは、ただこう言いたげな目つきをする。「おやおや、お優しいことで」。あの場面は、私が極悪人どもの一団のことを好きになっているんだなと観客が思っていなかったら、面白味のないものになっていたかもしれない。台本上では、あのくだりも上手くいくとは思えなかった。ところが……あの映画のために、ボブは本当に屈強で頑丈な男たちを選んでいた。だが彼らのうち誰一人として、本物のフットボール選手はいなかった。だから彼に言ったんだ。「ボブ、この連中では上手くいかないよ」とね。彼はわかっていると答えた。われわれはすぐさま「浜辺の筋肉男たち」の化けの皮を剥がした。それをやってくれるのが(レイ・)ニーチュケ[映画に出演したプロ・フットボール選手]だったら良かったんだが。

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