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mozi - モンテ・ヘルマン研究- 遠山純生-

──あなたは一つ興味深いことをおっしゃいました。『ロンゲスト・ヤード』に言及されながら、負けるときに勝つ、と。これは多くのオルドリッチ映画のテーマだと思うのですが……。

BR 腐敗に身をゆだねればすべてが上手くいくだろう。そうしなければ、すべてを失ってお仕舞いになるだろう。金も、家族も……。だが自分が道徳的に気高いと思える道を取らなければ、なおさら苦しむことになるんじゃないだろうか。ボブはこの種のヒーローが好きなんだ。自身ヒーローではないけれども、変わらざるをえなくなり、次いで正義にかなったことをしたとわかっているたったひとりの人間になる登場人物がね。奥さんや友人たちでさえ、彼のことを理解できないことがあった……思うに──いやむしろ自信をもって言えるんだが──ボブは何度も、あえて自分のキャリアにとって不利になることをやった。私が最初に話したようなことも指して言っているんだ……どこのスタジオもリベラル思想をひどく嫌っていた。映画はスタジオのものでなければならなかったし、ファイナル・カットやなんかも全部彼らのものでなければならなかった。完全な支配下に置かれていたわけだ。今は自分たちの望むように映画を作って、映画館に送り込むことができる。ボブはスタジオを激怒させ、おかげで実際、連中は決してボブの才能を認めなかった。それにひきかえ撮影隊は彼に忠実だったし、彼のためならみんな進んで命を捧げただろう。ボブは頑固で厳格で気難しかった。だが高潔だった。彼は一人の映画監督に求められるすべてのものを備えていた。ハリウッドには(セシル・B・)デミルのような、悪意のあるクソ野郎共もいた。でも連中は、一皮剥けばハッタリ屋の裏切り者たちでしかなかった。連中を無力にすることはできたんだ。だがボブに関しては、彼をやり込めてやろうとしたところで、逆に自分の方がやり込められた。(リチャード・)ブルックスもそうだったよ。


──あなたはベット・デイヴィスとも親しくされていましたね。

BR ベット・デイヴィスのことは大好きだった。彼女のキャリアが終わろうとする頃に、われわれは素晴らしい関係を築いた。私がベットに同伴しなければ、彼女はパーティに行かないほどだったんだ。ある日パーティに出席するため、ボブの家に彼女を連れて行かなければならなかった。ボブの家のパーティには、いつだって少なくとも150人の招待客がいた。電話したときに、ベットは私に、自分は遅れて行くからボブの家で会いましょうと言った。「オーケイ」と言い、私は一人で出かけた。パーティのある時点で、アーサー・ナイト──70年代に『プレイボーイ』誌にセックス専門コラム欄を持っていた人物──とおしゃべりしているときに、ジョーン・クロウフォードが亡くなったという噂を耳にした [ クロウフォードは1977年5月10日に死去 ] 。彼女とベットがいがみ合っていたことは知っていた。楽しい晩だったのに……。そうこうするうちに人ごみが開いてベットが現れた。彼女は私の方に真直ぐやって来て──私はまだナイトと話しているところだった──、ぶちまけた。「あのいやな女が死んだわ」「ベット、アーサー・ナイトのことは御存知ないよね。『プレイボーイ』に“映画の中のセックス”というコラムを書いているんだ」。するとうんざりした彼女は、「いつものように時間通り!」って。

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