mozi - モンテ・ヘルマン研究- 遠山純生-

 以下に訳出するのは、ロサンジェルス・デイリー・ニュース紙1953年2月5日号に掲載されたオルドリッチへの取材記事。執筆者はハワード・マクレー。

“お人形さんはいない”と監督オルドリッチは言う

 ロバート・オルドリッチが自分の思い通りに監督することができるなら、MGMの『ザ・ビッグ・リーガー』は“従来の映画とは一線を画した外観の”作品になることは確実である。

 目下初監督作品の製作を準備中のオルドリッチは、以下のように述べた。
 「出演者たちに旧来のメイクアップを施すことはないだろう。男には何も塗らない。登場人物や話の展開が要請する、傷跡やあざを除いて。女の場合は、彼女らが通常街なかに出る場合や食事のデートのような状況に応じて施す化粧のみ、許されることになる」。
 「彼らはいかにもな美男美女にはならないだろう」とオルドリッチは認める。「お人形さんのようにではなく、人間らしく自然に見えるはずだ」と。

 この発言にはかなり驚かされる。ひとりの若者(オルドリッチは33歳だ)が、一人前の長編映画監督として初めて取る休憩時間中に口にしたものであるだけに。けれどもオルドリッチは、映画産業においては訓練を積んだヴェテランなのだ。彼は1942年以来、業界の一流の人材を形成する人々の助監督を務めながら、演出の基礎を学んできたのである。加えて、過去五年間で半ダースにおよぶ上出来の脚本を執筆し [ 訳注 ] 、コロンビアや20世紀フォックスやユナイテッド・アーティスツのメジャー公開作でプロダクション・マネージャーや製作補を務めた。

 1952年、オルドリッチは22本におよぶテレビ映画を監督した。そのうちの17本は、NBCのシリーズもの『医師』の挿話である。ヴィデオ撮影に伴うさまざまな経済的・物理的限界に対処するべく発展した、新たな技術の数々がある。彼はそのうちの多くを、長編映画製作にも適用することができると思っている。

 エドワード・G・ロビンソン、ヴェラ・エレン、リチャード・ジャッケルといった『ザ・ビッグ・リーガー』の出演者に影響をおよぼすことになるオルドリッチの“ノー・メイクアップ”裁定は、彼がテレビ映画の演出を経験した結果導き出されたものである。MGMの重役陣は、オルドリッチが演出したNBCのテレビ映画を数本鑑賞し、“化粧していない顔の”出演者たちであっても充分に魅力があると判断したうえで、彼のやり方にゴーサインを出した。

>> 次ページへ

オルドリッチ研究 Top に戻る

Copyright(C)2011 mozi by Sumio Toyama All Rights Reserved.

mozi - ロバート・オルドリッチ研究 - 遠山純生-
Top Page
column
studies
rare films
archives
profile
about this site