mozi - アルトマン研究- 遠山純生-
ロバート・アルトマンの映画


●はじめに

 ロバート・アルトマンの作品歴は、約10年毎に比較的截然と区切ることができる。5060年代の産業映画およびTV時代、70年代の商業映画時代、80年代の舞台劇を翻案した商業性をさほど志向しない「小さな映画」時代、90年代以後の商業映画復帰時代である。とはいえ、もちろん上記のように整理して済ませることはできない。TV演出の仕事は、ハリウッドのすべてのメジャー・スタジオ(ワーナー、20世紀フォックス、MGM、パラマウント、ユナイテッド・アーティスツ、コロンビア)で14本の劇映画を監督した70年代には(一本の例外を除いて)見事になくなっているが、80年代には劇場用映画と半々程度まで数が増えており、90年代以後もその前の10年間よりは減ったものの、数としては全体の三分の一を占めている。90年代以後舞台劇の翻案作品は一本も演出していないが、80年代には翻案ものでない作品を(映画、TV併せて)四本だけ手掛けている。70年代と90年代には『ナッシュビル』『ウエディング』『ヘルス』『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ』『プレタポルテ』『ゴスフォード・パーク』『バレエ・カンパニー』と登場人物を増やす志向を持った作品を少なからず撮っているが、80年代は限定された登場人物と空間を使った「ミニマルな」作品を志向している。上記事項を念頭に収め、これを縦軸としよう。

 次に、採用された題材(主題)によって主に70年代のアルトマンの監督作品を大まかに分類し、現在までの作品歴はこの時代の延長ととらえ、とりあえずの横軸としよう。ひとまず70年代に限定するのは、この10年間でアルトマン作品に採り上げられた主題は(形はどうあれ)ほぼ出揃っているからである。

  戦争/喜劇:『M★A★S★H』
 西部劇/ロマンス:『ギャンブラー』
 西部劇/ショウビジネス:『ビッグ・アメリカン』
 ロマンス/ショウビジネス:『パーフェクト・カップル』
 SF:『宇宙大征服』
 SF/狂気:『クインテット』
 ファンタジー/喜劇:『BIRDSHT
 探偵:『ロング・グッドバイ』
 アウトロー/ギャングスター/ロマンス/旅:『ボウイ&キーチ』
 サクセス/競技:『カリフォルニア・スプリット』
 恋愛/エロティシズム/狂気:『雨にぬれた鋪道』
 漫画/ミュージカル/喜劇:『ポパイ』
 ショウビジネス:『ナッシュビル』
 狂気/ファンタジー:『イメージズ』『三人の女』
 喜劇:『ウエディング』『ヘルス』

 便宜上、上記に分類されているが、特徴的な要素を抽出するのが困難なものも多い。『ナッシュビル』『ウエディング』『ヘルス』等はそうした作品で、この種の作品傾向は90年代以後の諸作に連なる。

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映画の改訂作業
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演技と即興
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独自の方法2:撮影
演出と記録
「劇」であることの矛盾
多層化する空間1
多層化する空間2