はじめに

 以下に掲載する論考群は、ハリウッドが1960年代後半に“ルネッサンス”を迎えるに至った状況、ハリウッドの刷新を準備した条件および様々な映画の在り方を具体的に検証・考察しようとするものです。筆者は「具体的」という言葉によって、あくまで個々の作品や人物に寄り添ってその個別のありよう、相互の関連を問うてみることを意図しています。

ここではハリウッド・ルネッサンスへと流入することになるさまざまな映画の出現、およびその相互関係を、主に合衆国内の状況を中心に検討します。時代的射程は第二次大戦後から1970年代まで(とりわけ1960年代から1970年代前半にかけて)。扱う主題は、独立系映画、実験映画、記録映画、ハリウッドの異端的映画までを視野に収めることになるでしょう。もちろん、ルネッサンスを迎えたハリウッドがどのような映画を世に問うていたかも探っていきます。

連載タイトルが意味するのは、1961年にニューヨークで宣された「ニュー・アメリカン・シネマ」から1967年にハリウッドで勃興したいわゆる「(アメリカン・)ニューシネマ」へ至る映画の様態を探る、といった程度の大まかな意図の反映でしかありませんが、無論そうしたレッテル的括りから漏れ出る作品群をも積極的に採り上げてゆきます。つまり、ハリウッド・ルネッサンスの出現が歴史的産物であることを自覚しつつも、本連載でハリウッドと非ハリウッドとの間に序列や主従関係を設けることはありません。

従来ハリウッドの文脈(旧ハリウッドとの断絶か、せいぜい欧州をはじめとする諸外国の映画との影響関係)でしか語られることのなかった“ルネッサンス”の形成に、別の視角を導入することで何が見えてくるか、必ずしも歴史的記述に囚われることなく論じてみたいというのが筆者の願いです。と同時に、映画の歴史は「進化」ではないのだから、ハリウッド・ルネッサンスへたどり着くことを最終目的とすることなく、ほとんど知られることのない1960年代の非ハリウッド合衆国映画が何だったのか、この種の映画とハリウッド・ルネッサンスとの関連あるいは関連のなさをも明らかにしてみたいとも思います。

【合衆国映画の復興期】
はじめに
第一回
 ヘレン・レヴィット、ジャニス・ローブ、
      ジェイムズ・エイジー @


第二回
 ヘレン・レヴィット、ジャニス・ローブ、
      ジェイムズ・エイジー A


第三回
 ひな菊を摘んで @

第四回
 ひな菊を摘んで A

第五回 
 ベアード・ブライアントと
        『クール・ワールド』 @


第六回 
 ベアード・ブライアントと
        『クール・ワールド』 A


第七回 
 ウィリアム・フリードキンと “ドキュメン
タリー的” 犯罪映画の系譜 @

mozi - 合衆国映画の復興期- 遠山純生-
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