【合衆国映画の復興期】
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mozi - 合衆国映画の復興期- 遠山純生-

第十回

編集の変質@──撮影との相関で


●ショット持続時間の短縮化


 
1960年代以後に製作されたハリウッド映画を観ていて、誰もが感じるであろう特徴の一つに、ショットの持続時間の短さを挙げることができる。実際このことは、実証的に調査され統計化されている。短縮化の傾向は1950年代末期から始まっており、1960年代末期までにカッティングの速度は漸進的に上がっている、というのだ。例えば1958年から1963年にかけて、および1964年から1969年にかけての各六年間で、平均ショット持続時間(各々100本以上のサンプルに基づいている)を比較すると、前者では平均11秒から9.3秒だったのが、後者になると平均7.7秒(無声映画時代以来の最低値)になっているという。持続時間の短縮化に伴い、当然カット数が増加しているはずである。しかしカッティングの速度上昇は、一般観客はおろか映画批評家や研究者にも気づかれることなく進行していた。というのも、とりわけハリウッド映画においては、画面の連続性(コンティニュイティ)が保たれた慣習的な編集がなされていたからである。

 もっとも、平均ショット持続時間の減少とカット数の増加の原因は、はっきりわかっていないようだ。まずこうした事態は、テレビ演出の方法から導き出されたものではない。1960年前後に製作されたテレビドラマからあらゆるジャンルの18におよぶ番組(スタジオでのフィルム撮り作品と、ライヴ・ショウでの録画の双方)をサンプルとして選び、平均ショット持続時間を抽出したところ、7秒から40秒までの幅があり、全体の平均時間は13秒との結果が出ている。また、ヨーロッパ映画の影響から導き出されたものでもないようだ。合衆国でヨーロッパ映画への関心が再燃したのは1950年代末期のことで、これはショット持続時間短縮化の始まりと並行しているからである。それに、1930年代以来の速いペースのカッティングの伝統を保っていた英国を除けば、1960年代に世界的に注目されたヨーロッパのアート系映画、例えば『勝手にしやがれ』(ジャン=リュック・ゴダール、59)などは平均ショット持続時間が15秒と、同時期のハリウッド映画と比較してかなり長いことが明らかになっているからだ [※] 。

※バリー・ソルト Moving into Pictures(Starword)における分析を参照。


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