ある日、新人カウンセラーのクラレンスが学校に赴任する。ドナルドは、クラレンスのライターを使って彼の煙草に火を点けることで、互いに親しくなる。こうして孤独なドナルドに、初めての友人ができたのだった。

 図工の時間に、ドナルドは粘土でボウルを作る。彼は無意識にそのボウルを貝殻の形状にしているが、このボウルが彼に幼い頃海辺で家族写真を撮影した日のことを思い出させる。混乱したドナルドは知らぬ間にボウルを潰してしまっており、クラレンスに注意される。その後、ドナルドは屋外へ出て一人物思いにふける。にわか雨が降ってきてもしばらく校内へ入らなかったため、ずぶ濡れになったドナルドの身体を、クラレンスは拭いてやる。

 クラレンスの援助もあって、ドナルドは他の少年たちの間でその存在を認められるようになる。彼は文字を読めるようになり始め、製作を中途で放棄していたボウルを完成させる。ドナルドは完成したボウルを街へ出かける女性教師のロバーツに託し、母親に渡してもらおうとする。だがその後彼の母親は失踪しており、祖母も彼女の居所を知らなかった。ロバーツからボウルを手渡された精神科医「私」は、ドナルドに事実を話そうと決意する。

 母親の件をドナルドに聞かせた精神科医は、身寄りを失ったに等しいこの少年の精神状態を気遣う。その後、ひとり寄宿部屋にいるドナルドが、鉢植えとして使うことにした自作のボウルを机上に置き、ふと窓から校庭を見下ろす。すると、他の少年がクラレンスの煙草に火を点けている様子が彼の目に入る。嫉妬に駆られたドナルドはボウルを壁に叩きつけて割り、ベッドのマットレスを引き剥がして暴れるが、他の子どもたちに取り押さえられる。子どもたちはドナルドのロッカーに入っていた私物を壊し、扉に貼ってあった写真(その中の一枚に、海辺の家族写真がある)を丸めて捨てる。クラレンスが彼らを止めに入り、ベッドを直すようドナルドに優しく命じながら彼の振る舞いの理由を尋ねる。

 後日、生徒たちとバスケットボールに興じるクラレンスの上着からライターを盗み出したドナルドは、そのまま学校を抜け出して一人線路沿いに歩いて行く。母親のアパートを訪ねたときのことを思い出しながら、彼はその際彼女が自分を笑顔で歓迎してくれる(実際の経験とは逆の)様子を思い浮かべる。突如列車が猛スピードで近づいてくる。ドナルドは崖に張り付くようにして難を逃れるが、このとき彼が味わってきたさまざまなつらい想い出が瞬時によみがえる。

 ドナルドは我に返ったように、再び線路伝いに学校へ戻り始める。するとクラレンスの姿が前方にあらわれる。ドナルドは彼に駆け寄り、二人は共に学校へ帰る。校舎の入り口で、ドナルドは盗んだライターをクラレンスに返す。ナレーションが、ドナルドが自らの現状を受け入れたこと、彼がかつての状態から脱しつつあることを告げ、「しかしドナルドのストーリーに、ハッピーエンディングはない」と言う。ドナルドは、しわくちゃになった家族写真をロッカーの扉に貼り直す。寄宿部屋のベッドに横たわる子どもたちの寝顔が、次いで夜の街の様子が示される。ナレーションが、無情な世に対してウィルトウィック・スクールが子どもたちのために果たす役割をそれとなく述べる。

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