●映画『クール・ワールド』の物語

 以下、映画の展開に沿って物語を記述してみよう。

 ニューヨークの街角。黒人の男が街頭演説をしている。白人は悪魔であり、黒人こそが最初で最後の人間だ。白人は色を欠いているがゆえに不完全である。白人のおかげで黒人は精神的・物理的奴隷状態に置かれていたが、遂に黒人が権利を回復する時代が到来した、と。黒人の野次馬に交じって、白人警官たちが警戒の目を光らせている。

 仲間のロッドと演説を聞いていた15歳の黒人少年デューク・カスティスが、知人の黒人プリーストとその愛人の白人女性ミス・デュポンを見つけ、彼らに近づく。プリーストはデュークに、拳銃を売ってやるから金をホテルに持ってこいと言い、ミス・デュポンがハンドバッグの中に隠し持っているコルトをひと目だけ拝ませてやる。プリースト──司祭のように常に黒い服を身に着けているために、周囲から「プリースト(司祭)」と呼ばれている──はかつて不良少年グループ「ロイヤル・パイソンズ(大蛇団)」にいた男で、現在デュークも同じロイヤル・パイソンズに属していた。ロッドはデュークに、拳銃が手に入ればお前はロイヤル・パイソンズの団長になれる、と話す。

 話しながら街を歩くデュークとロッドはそのまま学友たちと合流し、バスに乗り込む。学校の教師に引率されて、社会科見学をするためだ。ウォール街に到着した彼らはバスを降り、フェデラル・ホール前にある合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン像の下で、自国の歴史をめぐる教師の講釈に耳を傾ける。

 夕方、街なかで女性からハンドバッグをひったくったデュークは、走って自宅アパートの玄関口に逃げ込むが、他の不良グループに襲われて気を失い、ハンドバッグを奪われる。そこに母親の愛人オスボーンが現われ、デュークを部屋に運び込む。部屋の中にはデュークの母親と祖母がおり、彼に簡単な手当てを施す。皆が寝静まると、デュークはひとり部屋を抜け出し、早朝の街をうろついた後、プリーストの住んでいるホテルへ行く。ホテルの便所で、プリーストはデュークに拳銃を預けて、明日の午後三時にまた来いと命じる。

 デュークは、仲間たちに預かった銃を見せびらかしに行く。勝手に銃を撃った仲間の一人を、デュークは殴りつける。その後街で会ったロッドから、仲間の一人リトル・マンが警官に殴られたと聞いたデュークは、リトル・マンを見舞いに彼のアパートへ行く。デュークとロッドが盗みをしたのを見つかって殴られたというリトル・マンの話を聞いていると、リトル・マンの父親がやって来て息子を罵る。リトル・マンはナイフを振りかざして父親を追い払う。デュークはリトル・マンのアパートの部屋を、仲間たちで会費を出し、それを部屋代にして「クラブ」として使うことを提案する。部屋代を払えば、リトル・マンもアパートに住み続けることができるから一石二鳥だと。

mozi - 合衆国映画の復興期- 遠山純生-

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【合衆国映画の復興期】
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第一回
 ヘレン・レヴィット、ジャニス・ローブ、
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第五回 
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 ベアード・ブライアントと
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