【合衆国映画の復興期】
はじめに

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mozi - 合衆国映画の復興期- 遠山純生-

第九回


●都市犯罪映画的様式

 
『ポール・クランプ事件』において「記録」と呼ぶに相応しいのが、記者ジョン・ジャスティン・スミスによる関係者への取材場面のみであることは、前回確認した。ところで、劇映画において「ドキュメンタリー的」と称される諸特性と並べてみると、『ポール・クランプ事件』の「記録」部分は劇映画における「ドキュメンタリー性」からは最も遠いことがわかる。なぜならここでは、取材者の問いに答える取材対象の姿が、据え置きのキャメラで延々とらえられ、時に質問を投げかける取材者の姿が挿入されることで、ハリウッド映画の慣習と照らし合わせてみればやや変則的だと言える程度の対話場面が成立するのみだからである。むしろ『ポール・クランプ事件』では、再現劇部分に後のハリウッド製劇映画における「ドキュメンタリー性」を予告する様式が逆説的に認められることも、前回確認した通りだ。では劇映画における「ドキュメンタリー性」とは具体的に何なのか、しばしば「ドキュメンタリー的」と大雑把に呼ばれてしまう劇映画の一形態に、人は何を見ているのか。

 都市、とりわけニューヨークを舞台とした犯罪映画で、「ドキュメンタリー的」と称される作品に認められる視覚的特徴として、以下のような要素が度々指摘される。

1:
手持ちおよび車載キャメラの広範な使用と、それに伴うドキュメンタリー様式のフレーミング(たとえば、逃げる人物を追いつつフレーミングを調整し続ける、など)

2:
望遠レンズの広範な使用(群衆のなかにいる特定の人物を識別する、など)

3:
自然光(アヴェイラブル・ライト)あるいは擬似自然光の採用(往年のハリウッド映画における人工照明の豊富かつ広範な使用と視覚的対比をなす)

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