室内。スタジオの男子用トイレ。
 大工(あるいは電機工)が手を洗っている。ジョッシュは小部屋の一つに入り、後ろ手にドアを閉める。
コスチュームに身を包んでいると、最も単純な人間の生理作用の解消も、複雑な作業を要するものになる。彼の頭と肩がドアの上から覗いている。
職人「あちらで何を撮影してるんで?」
ジョッシュ「大したものじゃない。ただのホラー映画さ」
職人「ああ、そうですかい、誰と?」
ジョッシュ「ボリス・カーロフさ」
職人「彼はいい奴だっていうじゃないですか」
ジョッシュ「ふふん。一緒に仕事できるなんて、素晴らしいことだよ」
職人「そうだとわかって嬉しいですよ。イメージを裏切られなかったからね」
ジュッシュ「ふーん、僕もだよ」
職人「あなたはその映画でどんな役を演ってるんで?」
ジョッシュ「若い二枚目さ」
職人「ああ、そうですかい。すごいな。うん、幸運を祈りますよ」
ジョッシュ「オーケイ、どうもありがとう」
 職人は出て行く。ジョッシュはズボンつりを合わせながら小部屋から出て来る。彼は再び帽子を被る。水洗の音が聞こえる。

 外。スタジオの通路。
 ジョッシユはトイレから出て、通路の遠方を眺める。

 インサート。
 カラーのクロース・アップ。ジョッシュは格子の向こうで、苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。

声(画面外)「カット!」

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抜粋2。導入シーン。

 室内。ジョッシュのアパート。
 彼は急いで入って来る。ロイスがベッドに横たわっている。
ジョッシュ「眠ってたのかい?」
ロイス「ううーん」
 彼は服を脱ぎ始める。
ジョッシュ「なんで起きていたんだ? 朝の4時だぜ」
ロイス「どこにいたの?」
ジョッシュ「前に言っただろ……。トランプをしていたのさ」
ロイス「夜中じゅう?」
ジョッシュ「夜中じゅうさ。帰る途中でホットドッグを食ったよ。チリつきのやつを、ヴァルと一緒にね」
 彼はバスルームに入り、鏡に向かい、自分の目、それから顎を見て、顔に水をかけ、顔を拭き、髪に櫛を入れ、歯を磨く。ジョッシュはバスルームの明かりを消すと、ベッドの方へと向かって行く。
ロイス「ごめんなさい」
ジョッシュ「気分はどうだい?」
ロイス「いいわ。怒った?」
ジョッシュ「いや。怒っちゃいないさ」
彼はベッドに寝る。二人は黙ったままだ。ロイスがジョッシュを見つめている間、彼の方は天井を見つめている。彼は身体の向きを変えると、優しく彼女にキスする。
ジョッシュ「おやすみ」
ロイス「おやすみ」
 ジョッシュはロイスに背中を向ける。
ロイス「勝負はどうだったの?・」
ジョッシュ「負けたよ」

 溶暗。

【モンテ・ヘルマン研究】

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モンテ・ヘルマン


『コックファイター』から
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