──ああいったゲームは意味深長ですね?

MH ああ、うん、そうだろうと思うよ……私は『フライト・トゥ・フューリー』に出てくる、カードを使った東洋の賭けゲームが好きだ──奇妙な絵が描いてある風変わりなカードを使ったね。磨き上げられて長く伸びた爪をした賭博師が、一度に一枚ずつカードをめくるんだ。カードに描かれている絵が少しずつ見えてくるにつれて、勝ったか負けたかわかるようになる。本当に刺激的なんだ。

──そうしたゲームがあなたのものの見方を要約しているのですか? 人生の無意味さを。

MH わからない……『フライト・トゥ・フューリー』で最もうまく表現されていると思う。ジャックがどうしてこんなにゲームに没頭するのかと聞かれて、ただ遊びたいだけさと答えるところだ。

―─たぶんそうなのでしょう。ですが私には、あなたが非常に不吉な視点を持っていらっしゃるように思えるのです。あなたは正義も慈悲も希望もない世界を提示しておられます。そこでは人間の運命が、偶発的な出来事にすっかり依存しているのです。あなた自身の人生の中に、こうした感覚の一助となるものが何かあるのではないですか?

MH そうした感覚が、自分の個人的な幸運や不運から生じたものだとは思わない。むしろ、自分が世の中からどう影響を受けたかってことに由来するものだ。人間が偶発的な出来事に依存しているという感覚は誰にでもわかるものだし、こうした感覚が備えるさまざまな面のどこに敏感であるかは、人それぞれだ。

―─あなたの映画はとても抽象的であると同時に、真に追った細部が偏執的な不安を表しています。

MH 演劇に関しては、私はリアリズムを信奉していた。『山鳩の声』を演出したとき、(舞台装置として)客間と寝室と台所があった。舞台で水栓をひねって水を流し、フライパンに火をともして、卵を焼くのは楽しかった。こういうことは演劇におけるほど映画では異例のことじゃない。とりわけ、本物の場所で撮影することの多い現在ではね。だが私が日常生活の取るに足らない細部を好んでいるのは事実だ。人々が食べたり身体を洗ったりしている場面が好きだ。『旋風の中に馬を進めろ』には人々が馬から鞍を取り外したり、また取り付けたりするシークエンスがたくさんある。西部劇でそういうところを見たことがなかったものでね。私が見た西部劇では、馬はいつも鞍をつけられたままなんだ。たぶん私は、すべてが前もってすっかり準備されている映画に対する反動から、そういうシークエンスを撮り過ぎた。人々が部屋を出入りするのも大好きなんだけれど、そういうのはしばしば、もっと激しいリズムに身をまかせたいと思っている観客や批評家を退屈させる。

―─『旋風の中に馬を進めろ』も『銃撃』も、同じ地域で撮影されたのですか?

MH そうだよ。でも同じ背景は決して使わなかった。『旋風の中に馬を進めろ』の中のいくつかの場面は『銃撃』の中のいくつかの場面が撮られたところから300メートルぐらい離れたところで撮った。アングルは違っているけれどね。『銃撃』の最後の三分の一は、砂漠で撮影された。『旋風の中に馬を進めろ』には見られないような類の風景だ。われわれはこの二本の映画で、同じ道を利用した。[ ラドヤード・キプリング原作の冒険映画 ] 『三銃士』(テイ・ガーネット、51、未)のために作られた道だ。『旋風の中に馬を進めろ』の冒頭、クレジットタイトルのすぐ後、乗合馬車の御者が刑務所の前に座って、泥棒に遭ったとシェリフに話しているところで、その道を見ることができる。同じ道は『銃撃』でも見ることができるよ。

―─『旋風の中に馬を進めろ』と『銃撃』を作っているときに、それらが少々変わったものになるだろうということを、どの程度意識していらっしゃいましたか?

MH われわれはあの二本の映画を見る人がいるとさえ考えていなかったと思う。あの二本は他のロジャー・コーマン映画と抱き合わされて、どこかで二本立ての内の一本として上映されるのだろうと思っていた。だからわれわれの個人的な満足のために、何か違ったことをやろうと思ったんだ。あれが誰かに認められるだろうなんて、考えていなかった。

―─二本の西部劇と『断絶』の間、何をなさっていたのですか?

MH いくつかの企画に取り組んでいた。『ワイルド・エンジェル』(ロジャー・コーマン、66)の編集をしたり、『聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ』(ロジャー・コーマン、67)のダイアローグに協力したり、『ザ・モンキーズ HEAD! 恋の合言葉』(ボブ・レイフェルソン、68、米)や『ターゲット・ハリー』(ロジャー・コーマン、68、Vのみ)に参加したりした。全部ロジャー・コーマンが製作したものだ [ 実際には『ザ・モンキーズ HEAD! 恋の合言葉』のみコーマン製作ではない ] 。


(訳 遠山純生)

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【モンテ・ヘルマン研究】

モンテ・ヘルマンとの対話 ④

モンテ・ヘルマンとの対話 ③


モンテ・ヘルマンとの対話 ②

モンテ・ヘルマンとの対話 ①

いくつかの原則 
モンテ・ヘルマン

『コックファイター』から
      『ボーン・トゥ・キル』へ

チャールズ・ウィルフォード

『墓碑銘(鏡に向かって)』
ジャック・ニコルソン&
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